エッセイ「閑土里西部譚 グアム島一人旅」 Vol.2

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   グアムの南部は熱帯樹の群落するジャングルと、トロピカルムード溢れる鮮やかな花々、そして見事なサンゴ礁の海、スペイン時代の遺跡etc.。北部は熱帯植物の繁茂する高い平原が連なり、切り立った崖の下には、コバルト・ブルーやグリーンの澄み切った海が美しく、北端にあるタラギビーチの白い砂浜に背の高いココヤシ林が続き、奇岩を配したサンゴ礁に白波が大きく飛沫を上げ、東海岸には熱帯の樹木やツタで覆われた洞窟、マーボ・ケープ(MARBO CAVE)と、南部では見られぬ景観である。これらの北部の半分近くはアンダーソン米空軍基地内にあるので、観光客などは立入禁止である。その点米軍の慰問に来ている僕としては、いつでも自由に泳いだり存分にエンジョイできるわけである。
島のほぼ中央西岸にタモンビーチ、イバオビーチがあるが、その周辺に藤田観光ホテル、東急ホテル、第一ホテル等日本のホテルの進出が目立っている。前に1度タモンビーチに行ってみた。波はなく水も澄んで遠浅で言う事なしでしたが、砂に混ざっているサンゴ礁のカケラが痛くて思うように歩けない。仕方なくゴムゾウリを履いて海に入ったが、泳ぐとすぐにゾウリが脱げて困る。素足のまま立つとウニやカケラがささってどうにもならないので、ゾウリを又履いて立つわけでなかなか大変な事である。「今度来る時は地下足袋を持ってこなくては、いちいち面倒だよ。」と皆で笑ったものです。それと遠浅の海の沖に向かって行くと海底に何か黒いもの(15p?20pくらいで細長い)が、初め石かと思って気にもしなかったが、だんだん増えてくる。足の感触では石のように固くない。何気なく潜って掴んでみて驚いた。ヌルッとしたのはコケのせいかと……とんでもない。思わず声を上げて放り投げてしまった。真っ黒なナマコであった。現にナマコが沢山いると聞いてわざわざ泳ぎに来た観光客の女性などは気持ち悪がって海に入れなかったそうである。だから僕としては、タラギビーチやギャブギャブビーチ等綺麗で静かな基地内のビーチで、長い一日をピクニックがてら楽しんだものです。
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 さて2日目からはアンダーソン基地を中心に、「将校クラブ」、「CP0クラブ」、そして「NC0クラブ」と日が経つにつれて池端トリオとのタイミングも慣れてもうバッチリ! 中でもギターとバンジョーとの掛合いの『Dueling Banjo』(米映画「脱出」のテーマミュージック、グアムではラジオで1日数十回と流れてるとか)などは、イントロをポロロンと鳴らしただけでものすごい拍手だったもの。こっちがびっくりしちゃって慌てたくらいです。それと相変わらず受けるのが映画『俺たちには明日はない』のテーマ曲、『フォギー・マウンテン・ブレイクダウン』、リクエストでは『幸せの黄色いリボン』、『カントリーロード』、『ロッキートップ』、それにヨーデルの曲はもちろんである。それと『スキヤキ』、『チャイナ・ナイト(支那の夜)』、『カンカン娘』、『タンコブシ(炭鉱節)』、『ショジョジ』等がくる。僕はこういう曲は好きなので、ジャンジャン唄う事にしている。これが又受けるときている。日本に進駐していた兵隊さん、又は奥さんが日本人とか、そんな彼等はやはり日本が懐かしいせいか愛嬌のある日本語で話かけて来る。とても嬉しいものである。
この頃はC&Wの曲を僕は日本語で唄っているので英語の歌詞を忘れている曲も中にはある。そんな曲がリクエストされると僕は迷わず、「日本語なら出来る」と言うと必ず「それでもいいから」とくる。「待ってました」とばかりその曲は東北弁で訛って唄う。客席のどこかでクスクスと笑いがもれる。外人は真面目に聴いている。その辺が又オモシロイ。ショウの楽しみといえる。
グアムには電車、バスはなく、交通機関といえばタクシーだけ。これが高いときている。だからタダ乗りのヒッチハイカーが道に立ってサインを送っている。そんな若者をよく見掛ける。野郎は難しいが、女性はミニスカートを更にミニにすれば決まりである。が、女性だからと思って車を止めると、男が隠れていて「それっ」とばかり飛び出してきて一緒に乗ろうなんてケースがあるそうで、車の方もだんだん慎重になってきているそうだ。
今回のグアムは休暇を3日間取り、ウィンクル夫妻(奥さんは日本人、キヨコさん)宅に世話になり、ドライヴに、ショッピングに、夜はクラブのショウを見に、と存分にグアムでのヴァケイションをエンジョイした。

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【閑土里西部譚 グアム島一人旅」 Vol.1】
【閑土里西部譚 グアム島一人旅」 Vol.2】